去年、珍しく予約してまで買ったのよ、これを。
『ハセガワ 1/35 ヤンマー トラクター YT5113A』(3200円・税別)
このトラクターはダイキャストのミニカーを買おうかと思ってたくらい好きなので、昨年11月に発売されると聞いてからは予約せずにはいられなかった。それくらい好き。
なにがそんなに惹かれるのだろうと思ったのだけど、たぶんそれは意外性とデザインそのものの秀逸さ、だと思う。
「トラクターなのにカッコイイ」「こんなかっこいいトラクター、見たことない」
そんな衝撃が虜にさせたのだと思う。
庭師なのにイケメン、しかも筋肉すごい。そんな人いたよね。あんな感じ。僕は筋肉好きじゃないけど。そして男も好きじゃないけど。
さて、このトラクター。奥山清行氏が代表を務めるデザイン事務所がデザインしたというのだから驚き。というか、納得。
奥山氏といえば、「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男」ですよ。
エンツォフェラーリっすよ(画像は拾い物)。
好き嫌いが分かれるフェラーリだけど、フェラーリのデザイン史に大きな足跡を残したのは間違いないよね。僕は大好き。見るからに速そう、凄そう。子供も大好きな車だと思う。そういうデザインってすごい。
すごく奇抜なようでいて、実は機能的。空気の流れが目に見えるよう。そんなエンツォのデザインと同じようにヤンマートラクターYT5113Aも、作っていると実にシンプルで機能的だということがわかる。見た目は派手なんだけどね。
作っていてそんな感想を抱くのも、ハセガワが単なる話題性の大きいプラモを作ったというのではなく、誠実にスケールモデルとしてキットを開発したから。
スケールモデル。実物に忠実であることが求められるそのジャンルの仕事をハセガワはしっかりこなしている。
ランナーから切り離したときのゲートかすみたいな小さなパーツに四苦八苦。
老眼に苦しみつつ遠近両用サポートレンズとルーペを駆使して塗り分けに四苦八苦。
こんなところまで作るのか、完成したら見えないじゃん。でも、そうやって実物を忠実に縮尺したことであることを楽しむのがスケールモデルというものらしいよね。正直、僕にはそういう趣味はないので見えないところはさっさと終わらせたい。
小さなパーツ群に苦労してなんとかシャーシが完成。
「うわー、このトラクターかっこいい」って思った小さな子供が組めるようなそんなヤワなプラモでは決してない。子供は迷わずトミカ買え。それが無難だ。
それにしても、小さい。この小ささではさすがにエンジンの再現まではしなかったか。
うん、それがいい。だってカーモデルのアレ、完成したら見えないもん。
ん?そういえば小さすぎるよな。
え?1/35?
そう、僕はこの時点になってようやくこのキットが1/35であることに気がついた・・・。
なんとなく、カーモデルといえば1/24、あるいは1/20。価格的には1/24と思い込んでいたのである。
1/35なんてミリタリー系じゃないの。このトラクターを一体何と並べるというの。
ただでさえ老眼で小さなパーツから逃げたくてイライラしてきたのに、並べられる同スケールの車があまりないことに気づいて怒りに似た感情がフツフツとわきあがるのであった。
なぜだ!なぜなんだハセガワ!
この2月に発売された『ローゼンバウアー パンサー 6×6 空港用化学消防車』もスケールは1/72。。。
小さくてつまんないよね。1/72の飛行機としか並べられないじゃん。あ、あれは空港の消防車だからまあいいのか。
これじゃあ、ハセガワから出てるショベルカーなどの建機シリーズとしか並べられないじゃん。
ほんとに、なぜ1/35とか1/72にしたのだろう。。。
3000円前後の価格帯に納めるにはこうするしかなかったのか。
1/24だったら、もっと迫力が出たし、もっとスケールモデルとしての楽しみも増えただろうに。
3200円。子供向けの価格でもなけりゃ、大人の趣味としては安い。
実に中途半端で残念きわまりない。
5000円を超えるとスケールモデルは途端に売れなくなるのだろうか。
そうだとすればとても悲しいことだ。
ユーザーの出し渋りが商品を中途半端なものにして、業界全体を劣化させていく。
日本のプラモは安い。
今のところはその内容に対して安い。
しかし、今のままではその内容に対して高いということになっちゃうんじゃないかな、なんてことまで考えちゃったよ。考えすぎだといいけど。
さて、ボディの塗装。
フィニッシャーズの赤が好きなので、どの赤にしようかと悩んでいたら説明書の指定ではクレオスのレッドにゴールドを少量混ぜる、とある。
どういうことだろうかと実車の画像を探してみた。
東京モーターショー2015の展示車。(拾い物画像)
たしかにメタリックに輝く赤。これがコンセプトだけなのか実車もそうなのかはわからないけど、これはかっこいいから目指してみようということで塗装開始。
パーツをしっかり下地処理(3000番までかけた)をしてサフは吹かないことに。結構塗り重ねることになるので少しでも塗膜は薄くしたい。
まずはクレオスのウィノーブラック。
続いてクレオス9番ゴールド。0.2口径のエアブラシだと詰まる詰まる。
そしてガイアノーツのクリアレッド。この後デカールを貼って、ラッカーのクリアを4層吹き。
ウレタンを吹こうと思ったらダメになってて使えなかったからだけど、わりとシャープさが必要な形状だったので結果的には良かったかと。
その後は・・・
運転席の細かな塗り分けで眼精疲労を起こしたり、
やらなくてもいいのに気になって、車体前面のオモリ部品に穴開けたり切り欠いたり、
クリアの乾燥を待って、デカールの段差を消すために研ぎだしたり、
窓枠のデカールが難しすぎてこりゃ塗ったほうが正解だったかもーってなったり、
俺には完成は無理だ、トミカで十分だと、いじけて犬の上でブンブン遊んだり、
ニシンを釣ったら、
完成!
細かいところまでがんばって作ったので見てほしい。
いや、あんまり見ると粗がわかるから遠目で見てほしい。
と、そんな複雑な心境にさせてくれるキットでした。
トミカのようなミニカーは秀逸なデザインに触れて確かめることができる。
プラモデルではさらに秀逸なデザインを理解することができる。
見て触れるだけでは分からない楽しみが、プラモデルの「作る」に秘められている。
そんなことを確かめられるハセガワのヤンマートラクターだった。
・・・1/24で作りたかったなぁ(笑)。
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